こんにちは。若石リフレクソロジスト&食生活デザイナーの木下友子です。
「お塩シリーズ3回目」です。初回が薬膳から見た塩の働き、二回目が塩の味と種類についてのお話しでした。
今回は、製法による「ミネラルバランスの違い」にスポットを当てます。
比較するのは一般的なお塩と、「ぬちまーす」というお塩。
●一般的に売られている塩を見ますと、だいたい
・原材料名:海水(瀬戸内海)
・工程:イオン膜・立窯・乾燥 と書いてあります。
●ぬちまーすは沖縄県宮城島の美しい海水を使用し、「常温瞬間空中結晶製塩法」という特許製法で作られています。この製法は、海の成分を瞬間的に結晶させることにより、21種類ものミネラルを含ませるというもの。
一般的なお塩の成分とぬちまーすを比較してみましょう。
●ナトリウム(塩辛さ)→一般的な塩の方が辛い!
一般的な塩: 39.186g
ぬちまーす: 29.25g
●カリウム(酸味)→ぬちまーすの酸味が強い!
一般的な塩: 102㎎
ぬちまーす: 960㎎
●カルシウム(穏やかなえぐみ)→ぬちまーすには穏やかなえぐみがある
一般的な塩: 18mg
ぬちまーす: 900mg 味が複雑!
●マグネシウム(強い苦み)→ぬちまーすは複雑な味
一般的な塩:16mg
ぬちまーす: 3160mg 味がとても複雑!
と、ずいぶん、ミネラル分に差があります。
塩にはいろんな製法がありますので、かなりマニアックではありますが、下記のまとめをご参考にしていただけましたら幸いです。
いや、こんなマニアックな比較いらんよ……という方は、最後の方に塩の味と使い分けについて書いておりますので、ぐぐ~っとスクロールして最後だけお読みください(^^;
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━
1、イオン膜塩(にがりなし)
<表記例>
原料:海水/工程:イオン膜、立釜
もっとも出回っている塩で、いわゆる精製塩のことです。
メリットは天候や気候に左右されず、安定した生産量が確保できるというところ。
<作り方>
「イオン(交換)膜濃縮」によって「Na+」と「Cl-」の濃縮液を作ります。この濃縮液を釜焚結晶することにより、精製度の高い塩が完成します。
パッケージの表面だけ見ると、「海塩」と書いてあるので裏面を見ない限り、イオン膜製法かどうかはわかりにくいとは思います。
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━
2、完全天日塩(にがり有)
<表記例>
原料:海水/工程:天日、(粉砕)←結晶が粗くなるので粉砕します
<作り方>
海水を天日で濃縮し、濃度の高い塩水を作ります。さらに、結晶までの工程も天日で行いますので、人工的な「加熱」を必要としません。海に近い平地があるかどうかや、日照条件も関係しますので、日本ではなかなか難しい製法です。
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─
3、平釜塩 釜焚き塩(にがり有り)
<表記例>
原料:海水/工程:天日、平釜
前回ご紹介しました「海の精」というお塩はこちらの製法です。
<作り方>
完全天日塩との違いは「結晶」の工程です。こちらは天日ではなく平釜で煮詰めて結晶にします。天日結晶が難しい日本では、古くから行われてきました。伝統的な製法です。
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━
3、再生加工塩 (にがりについてはケースバイケース)
<表記例>
原料:天日塩、粗製海水塩化マグネシウム(ニガリ)/工程:溶解、混合、平釜(または立釜)
なぜ「再生」という名がつくのかというと、岩塩や湖塩のような「自然現象」による製法ではないからです。
<作り方>
「天日塩」を水に溶かしにがり等を混ぜて「釜焚結晶」させて作ります。水ではなく海水と溶かす製法もあります。そうなると、表記は下記のように変わります。
<表記>
原料:天日塩、海水(わざわざにがりを加えなくても良くなるので)/工程:溶解、平釜(または立釜)
「HA!KA!TA!NO!SHI!O!」もこれです。ちなみに博多の塩ではありません。原料となる塩はメキシコとオーストラリアのものです。
さて、さらに比較!
もうどんどんマニアックになってきましたので、ご興味のある方だけお付き合いください (笑)
「伯方の塩」と「海の精」を比べてみると・・・・・・
■ナトリウム(塩辛さ)
伯方の塩37.5g>海の精33.8g
■マグネシウム(強い苦み)
海の精700mg>伯方の塩110mg
■カルシウム(穏やかなえぐみ)
海の精400mg>伯方の塩90mg
■カリウム(酸味)
海の精240mg>伯方の塩50mg
となっていて、海の精の方が複雑な味ですね。
あとは値段が全然違います(笑)
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─
4、岩塩(にがりについてはケースバイケース)
●粉砕岩塩の表記
原料:岩塩/工程:粉砕
<作り方>
単純に岩塩を掘り出したもの。不純物があったり、成分によって色が変わります。
●天日岩塩の表記例
原料:岩塩/工程:溶解・天日
<作り方>
原料の岩塩を一度溶かすことにより、成分を調整して濾過が行われ、細かな粒へと再結晶させることができます。結晶化は天日だけで行われます。
●釜焚岩塩の表記例>
原料:岩塩/工程:溶解・平釜(または立釜)
<作り方>
岩塩で一番多い製法です。一つ前の「天日岩塩」と違うのは、結晶化のプロセス。こちらは加熱することで結晶化させています。
さてさて、いかがでしたでしょうか。相当マニアックな記事に仕上がりました。
塩のにがり成分については、健康に良い・悪い等と賛否両論ですが、私としては、「使い分けとバランスの問題」と思っています。
まずは海塩と岩塩、ご家庭に2種類そろえておくと良いのではないでしょうか~。
★淡白な味のものには複雑な味を
白身の魚、鶏肉、白ワイン、おにぎり等には複雑な味の海塩が合います。
★こってりした味のものにはスパイス的な味を
赤身のお肉、ジビエ、重めのワイン、フレンチソース等には、ストレートな辛味の岩塩が合います。
お塩を使い分けで、美味しく楽しい食卓に♪
■自然栽培ファンクラブ:自然栽培の情報や健康コラムをお届けしています。
Comments